2016年10月14日金曜日

三方よし?"スマート"なゴミ箱が未来的

◯最先端のスマートなゴミ箱

駅やショッピングモール、デパートなどに設置されているゴミ箱がいっぱいになり、"ゴミが入らない"ゴミ箱を見たことがある人は多いと思います。そのために、持っていたゴミが捨てられず、そのまま立ち去ったりして不便ですよね。
今回は、そんな問題を解決してくれ、さらに環境にも、清掃してくれる人にも、経済的にも"スマート"IoTゴミ箱をご紹介!すでに、シンガポールでは試験導入されているということです。

◯太陽光で動くゴミ箱とは

シンガポール西部にある施設「ホンカー・コミュニティー・クラブ」で、試験導入されているスマートなゴミ箱「Clean Cube」は、韓国のメーカー「Ecube Labs」が開発。ゴミの圧縮機能があり、従来の約8倍ものゴミ、重量にして最大500kgのゴミを収容することができるそうです。
Clean Cubeは、容量が100L、120L、240Lの3種類で、容量によってそれぞれ30W、50W、60Wの太陽電池を搭載。また、内部に電圧12V、蓄電容量55Ahの蓄電池を装備しています。ゴミがあふれそうになると、Wi-Fiなどの通信機能により、管理者に状況を通知する機能も。
オプションで、LEDバックライト付き広告パネルの装着も可能で、パネルのLEDは蓄電池をフル充電すれば約48時間点灯します。
ゴミの圧縮に必要な消費電力は、1日約15Whと小さいため「外部電源は不要」だそう。

◯太陽光発電によるゴミ箱が生まれた背景

・ゴミの溢れない社会

では、このゴミ箱を"なぜ"作ったのか。
韓国のソウルを拠点とするEcube Labsは、太陽光発電によるゴミ箱や管理ソリューションを提供。Ecube Labsは、ゴミが山積みになる前に街中にあるゴミの量を圧縮したいと考えています。
Ecube Labsの設立者でCEOのSunbeom Gwon氏は、ソウルの中でも人口が密集しているシンチョン(新村)地区に居住。そこでは、ゴミ箱がいつも溢れかえっていたそうです。

「ソウルでは午後10時を過ぎてもたくさんの人が出歩いています。それで夜のうちにゴミ箱がいっぱいになり、街の衛生状況を悪くしているのです。けれども自宅でゴミ箱が溢れるようなことはありません。かさを減らすために足を使ってゴミを押しつぶしているからです。街中にあるゴミについても同じことができるのではと考えました」


Gwon氏は、ゴミ問題について深く知るために、深夜にゴミ収集を手伝い、収集スタッフに対してインタビューを実施。ゴミ箱の数が増加するとゴミ収集を管理する人員も多くなることがわかったため、統合されたゴミ箱モニタリングシステムの開発を始めました。
2011年に設立されたEcube Labsは、Coolidge Corner Investmentから170万米ドルを調達。現在、このゴミ箱は国外でも採用されており、現地パートナーからも支持を得るに至りました。

・公共インフラの整備

Gwon氏は「このゴミ箱は公共インフラですので、私たちのソリューションは国外の政府からも歓迎されています。このソリューションは産業廃棄物、建設廃棄物、廃油、排水の圧縮にも応用できるでしょう」とも話しています。

◯使用メリット

では、このゴミ箱を使用するメリットは何なのか。
以下、大きく3つを紹介します。

・運用コスト削減

日本の夏でも歩くのがおっくうになりますが、シンガポールでは日中は30度を超えるのが当たり前。ゴミ箱をチェックする清掃員の体への負担は大きいものだと考えられます。
Clean Cubeはゴミの量を3段階に分けて検知し、少ない順に「緑」「黄」「赤」のサインを出してゴミ箱の外側に表示。さらに、Clean CUBEは容量が限界に近づくと、担当清掃員に自動で連絡してくれます。連絡もあり、外から見るだけでも容量がわかるため、清掃員さんの負担は軽減されそうですね!
つまり、無駄な人員と時間を割くことが無く、効率的な回収が可能なため経済的に◎!

・ゴミがゴミ箱から溢れない

Clean Cubeには、ゴミの圧縮機能が付いているため、通常の同じサイズのゴミ箱と比べて約8倍の容量を誇るそうです!
1台で、8台ゴミ箱を置いているようなものかも?

・CO2の削減

Ecube Labsは現在、イギリスの電話会社Vodafoneと協力して、ゴミ収集担当者が携帯電話でゴミ箱の状況をモニターできるようにしています。
そうすることで、いっぱいになっているゴミ箱だけを収集すれば良いので、CO2排出の低減にも効果を発揮!
なんか良い感じです。


◯今後の課題…

・課題はコスト、初期費用約28万円

しかし、この"高機能"なゴミ箱。気になるのは初期費用はと言うと、3500シンガポールドル(約28万円)。シンガポールで使用されている通常のゴミ箱の値段が、120~130シンガポールドル(約1万円)ということを考えるとコストが高いです。各国で取り入れて広がっていく実用化には、なかなかのハードルです。

◯その解決法とは

Ecube Labsとしては、ゴミ箱側面にLEDディスプレイを設置し、そこからの広告収入。ゴミ収集作業の効率化から生まれる人件費削減。そして、ソーラーシステムが内蔵されていることによるランニングコストの低下で、高い初期費用のデメリットを補おうとしています。

・センサーのみの導入

一方で、「Clean Capセンサー」という代替品も提供しているそう。これは、ゴミの容量レベルをチェックするセンサーで、既存のゴミ箱が対象。中に入っているゴミ箱の量を検知する機能があるため、圧縮はできないものの、効率化は図れそうです。
同社によると、Clean Capセンサーは、Clean Cubeに比べて安価なため受け入れられており、月次でセンサーを使用する契約をベースとしてソリューションが提供されているとのことです。


Gwon氏は「環境業界は昔からある保守的な分野で、テクノロジーが十分浸透しているとは言えません。私たちの IoT ソリューションはエリア一帯のゴミ箱に関するデータを集められますが、将来は、ビッグデータ主導の廃棄物収集ロジスティクスサービスを提供できるでしょう。」と話しています。

◯まとめ

シンガポールでは、空港やスポーツ総合施設などでも試験的に導入が進み、今後もさまざまな場所で試験利用される予定です。同国は、ゴミのポイ捨てに厳しい国としても知られ、ポイ捨ての罰金は最高1万シンガポールドル、日本円にすると約80万円。Clean Cubeの実用化は、シンガポールがさらに美しい街並みになる大きな一歩になりそうです。

そして、Clean Cunbeは2013年に欧州各国に進出。イギリス、オランダ、スウェーデン、ドイツ、韓国など、活躍の場を広げていっています。
韓国のソウル大学などに設置したケーススタディでは「週に12回の収集が2回に減った」、「リサイクル率が300%も向上した」という報告も。
今後も、世界へ向けて発信を続けていくそうです。

Ecube Labs以外でも、ゴミを圧縮する機能を持ち太陽光で動くゴミ箱を開発したBigBelly Solarや、ゴミ箱からデータを収集・分析するフィンランドのEnevoなど、"スマート"なゴミ箱が世界に広がる基盤は整ってきています。
東京五輪までに、日本のスタンダードも変わるかもしれませんね!

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